「相続探偵」(第8話)から弁護士と学ぶ相続と遺言!

相続探偵(1)(イブニングKC)
相続探偵(1)(イブニングKC)

  日テレ土曜9時で放送中の「相続探偵」!

 

 「第八話 死後認知〜八人目の隠し子〜」がNetflixでも配信開始されましたので、弁護士の立場から考察しました。

 

【あらすじ】

 灰江が籔内教授の七人の隠し子疑惑を晴らした後、本物の隠し子・正樹が現れ、物語は急展開!そしてついに、相続探偵の衝撃の過去が明らかに…。灰江七生、最後の闘いが始まる!!

 

 今回の物語は、前回に続き、亡くなった東大教授の隠し子の話。

 週刊誌が報道した7人の隠し子疑惑は虚偽であったことが発覚し、謝罪・訂正記事がなされる中、本物の隠し子が現れました。

 

 前回解説したとおり、相続が発生すると、まずすべきことが相続人調査です。

 これにより予期せぬ相続人の存在が発覚することがあります。その代表が隠し子の存在です。 

 子どもがいてすでに認知されている場合や死後に認知された場合、法定相続人の一人となります。

 

 遺言がなければ法律による相続=法定相続となりますが、法律によって誰が相続人になるかは決まっています。配偶者は常に相続人になりますが、父親が亡くなった後でも、子ども側からDNA鑑定等によって親子関係の証明ができれば出生当時に遡って父子関係があったとされ、法律上の相続権も発生することになります。そうなると、配偶者の取り分が半分になる可能性があります。

 

 物語の中でも、本物の隠し子であることが判明し、隠し子側からは、死後認知の訴えをして法律上の親子関係を認めてもらうか、それとも、内々に協議して解決金を受け取って終わらせるかという選択肢が出てきました。

 激しく対立するようなケースでは、実務上、後者の協議や交渉をしつつ、話がまとまらないようなら前者の法的手続きに移行していくことになるでしょう。

 

 

 また、灰江の過去の話の中では、”裁判官の判決が法曹界の重鎮からの圧力で歪められた”というエピソードが出てきます。

エンタメとして楽しめばいいので、こんな指摘は野暮ですが、実際にはなかなかないことかもしれません!

 弁護士からの圧力で、裁判官を動かせるかというと、現実的には難しいでしょう。 少し陰謀論めいたものにはなりまね。法曹界の重鎮といえども、裁判官がその意向に従うメリットはたいしてない一方で、裁判官が自分の身分を剥奪されるリスク覚悟で判決を変えるメリットは通常考えにくいでしょう。あまりにもデメリットが大きすぎて、人間の行動としては合理的な説明がつきにくいでしょう。もちろん物語の中では、そこにも何か理由があるかもしれません!

 

  むしろリアルな可能性がある場合としては、多くの組織がそうであるように、組織の人事権を背景として、組織の意向を忖度した結論が出されることでしょう。あからさまでリスクのある歪みよりも、むしろ表面化しにくく、リスクも低い忖度の方が可能性はあるでしょう。この点は組織としての人事権を握られていない弁護士よりも、検察官や裁判官の方が可能性としてはありえます。ただ、体感的には多くの法曹がその自負をもって独立して自分で判断しており、あまり陰謀論めいたものを感じることはないです。

 

 

 さらに、物語の後半では、復讐の想いに駆られる灰江とただただ子どもの幸せを祈る母親が言葉を交わすシーンがあります。

 弁護士をやっていると、被害者的立場にいる人にも加害者的立場にいる人にもつくことがあります。加害者の想像している以上に、被害者の多くは自責の念に加え、加害者への憎しみや復讐心にも駆られるものです。もちろん、その強い想いが前向きに生きる活力になることもあります。ただ、現実的には、その先に、その人の幸せはなかなか見つけられないところが難しく、代理人としては歯がゆいところです。弁護士が代理人に就くことで、被害者の抱えた荷物を分け合い、少し視野が広がることもあります。また、時間薬も非常に重要で、時間の流れの中で、気持ちを消化させていくこともできます。本人が幸せになるorそう感じれること以上に重要なことはないですからね。

 

 復讐心の先をどう描くのか、ラストへの展開が楽しみですね! 

 

 なお、過去話の講評は以下からご覧ください!

 

    第一話「或る小説家の遺言」

 第二話「その女、危険につき」

 第三話「マリーアントワネットの相続」

 第四話「京都 老舗和菓子屋の変ー前編ー」

 第五話「京都 老舗和菓子屋の変ー後編ー」

 第六話「笑福湯の生前相続」 

 第七話「死後認知〜七人の隠し子〜」

 


 相続や遺産分割は合理的な法律と不合理な感情が入り混じる複雑な事案が多くあり、なかなかドラマのようには解決しないものです。ただ、当職は弁護士として15年、相続や遺産分割については調停や審判、関連訴訟等も多く経験しており、交渉で解決する重要性も意識しています。もし相続に関連してお悩みの方はご相談ください。