
日テレ土曜9時で放送中の「相続探偵」!
「第七話 "死後認知〜七人の隠し子〜"!」がNetflixでも配信開始されましたので、弁護士の立場から考察しました。
【あらすじ】
亡き大教授・薮内晴天に7人の隠し子疑惑が。
DNA鑑定で親子関係が証明されれば隠し子には薮内の遺産が相続されるが、愛妻家の内に隠し子がいたとは考えにくく、灰江は真相を調査する。
今回の物語は、亡くなった東大教授に婚姻関係にない女性との間に7人の隠し子疑惑が発覚し、その友人が灰江に相談することによって始まっていきます。
実際、相続が発生すると、まずすべきことの一つ目が相続人調査です。
妻や子どもは自分たちだけが相続人と思っていて、そこは大前提として考えていたにもかかわらず、いざ調査してみると、他に相続人がいたということがゼロではありません。
その典型が隠し子です。
遺言がなければ法律による相続=法定相続となりますが、法律によって誰が相続人になるかは決まっています。
まず常に相続人となるのが配偶者!配偶者が存在する限りは常に相続人になります。当たり前ですが、日本では重婚は認められていないので、配偶者は最大1人です。
そして配偶者とともに相続するのがまずは子ども、子どもがいなければ親が、親もいなければ兄弟姉妹が相続人になります。
すでに親も亡くなっていて、兄弟姉妹もいなければ、相続人は配偶者だけとなります。
配偶者と子どもが相続人になる時、配偶者の取り分は二分の一となり、子ども全員あわせた取り分として残りの二分の一となります。
そのため、隠し子がいるかどうかは配偶者の取り分が半分になるかどうかと直結する可能性があるのです。
婚姻関係にある両親の間に産まれた子どもは、いわゆる嫡出子として、両親との間に法律上の親子関係があると認められることになります。これに対して、婚姻関係にない両親の間に産まれた子どもは、非嫡出子と呼ばれます。
この場合でも、母子関係は妊娠や出産の事実から明らかであり、法律上もその事実をもって母子関係が認められます。
他方、父子関係はそうはいきません。そこで、法律上、認知というものによって父子関係が成立するとされてます。
ただ、父親が必ずしも生前にすんなりと認知してくれるとは限りません。ですので、父親が亡くなった後でも、子ども側から法律にしたがって認知を請求することができます。これを死後認知といます。
DNA鑑定によって親子関係の証明ができれば、出生当時に遡って父子関係があったとされるため、法律上の相続権も発生することになります。
また、昔と違い、非嫡出子と婚姻している嫡出子との間に相続による取り分の差はないことになりました。本人にはどうしようもない差別にあたりうるため、撤廃されました。
これらのことから、当初配偶者だけが相続人だったところに、隠し子の存在が発覚するとことにより、5億円の遺産の2分の1だけが配偶者のものとなり、半分に減額されることになるのです。
隠し子7人は、この2分の1を人数割した14分の1ずつに当たる3500万円分の権利があることになります。
この隠し子疑惑の真実と企みが今回のメインテーマでした。
また、話の中では、”藁の上からの養子” という有名なフレーズも登場しました!
これは、実際には生まれてすぐに養子縁組されたのに、戸籍上は最初から養親の実子として届出することを意味しています。役所も戸籍制度も今ほどきっちりしていなかったため実際に行われていた脱法的な手法です。しかし、もちろん戸籍法に違反する行為で、虚偽の出生届の作成や提出は公正証書原本不実記載罪(刑法157条)に該当する可能性があります。
そして、ラストシーン、こんなセリフがありました。
「運が悪かったんじゃない・・・それでも人生を切り拓くのは自分たち自身じゃないか」というセリフに対して、それは「善人面した法律家どもがよく並べる御託だよ」との強烈な指摘!
確かに、法律家になるのはお金がかかるのがリアルな現状で、経済的に余裕があるか、多額の奨学金を借りる必要があったりします。ただ、実際に法律家になって、さまざまな事件を担当し、いろいろな人の人生の一端に関わると、自分が恵まれていたことを痛感するものです。上記のようなセリフを吐く法律家は意外と多くないんじゃないかと個人的には思っています!
なお、過去話の講評は以下からご覧ください!
相続や遺産分割は合理的な法律と不合理な感情が入り混じる複雑な事案が多くあり、なかなかドラマのようには解決しないものです。ただ、当職は弁護士として15年、相続や遺産分割については調停や審判、関連訴訟等も多く経験しており、交渉で解決する重要性も意識しています。もし相続に関連してお悩みの方はご相談ください。
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