
日テレ土曜9時で放送中の「相続探偵」!
「第六話 笑福湯の生前相続」がNetflixでも配信開始されました!
第一話〜第五話に続き、弁護士の立場から考察しました。
【あらすじ】
後継者不在に悩む銭湯の主人・ケンジイ。
ある日、孫娘の真央が「私が継ぎたい」と一念発起したことから、灰江はゲンジイの所有する土地と建物の生前整理に着手するが、思わぬ問題が生じて…。
今回は、お風呂を運営している主人が、事業を承継したいと言っている孫娘にどのように相続すべきか、生前の相続対策がテーマになってきます。
初めは後継者がおらず、自分が死んだ後のことを考えることにむしろ向きな主人。
これに対して、灰江からの厳しい一言!
「自分が死んだ後のこと、本気で考えたことありますか。…遺された家族のことを想ば、生きているうちの相続対策こそ大事なんですよ。…万が一ケンジイが今死んだら銭湯も死んでしまいます。」
相続対策というのは実際に生前に被相続人自身が行ってはじめてできることがほとんどです。
その最たるものが、遺言書!
遺言書があれば、遺言書にしたがった相続になっていきますが、なければ法律上の枠内で、相続人同士が協議をして決めていく他なく、紛争の火種になりやすいのです。遺言書をのこさずに亡くなってしまうと、根本的に事態を変えることはできず、あくまでも法律上の規定の枠内で解決していくしかなくなります。
今回は、銭湯を孫に承継させるにあたって、事業に関わる財産の多くを孫に相続させる方針となりますが、相続税の支払いが多くなることが予想され、複数ある不動産の一部を現金化していくことが課題となってきます。
ドラマの中でも、亡くなった後、相続税を10ヶ月以内に現金で一括納付しなければならないと問題提起されています。実際には、暫定的に申告しておいて修正することもあるでしょうが、原則論としてはその通りです。
孫に銭湯事業を承継させるため、遺言書を作成していくことになります。
ただ、他の相続人に最低限保証されている遺留分に配慮しなければいけませんし、相続税の支払い準備も必要なため、相当な現預金を準備しておくことが重要となってくるのです。
実際に銭湯事業を承継させるとなると、会社による事業の場合は役員の交代や株式の承継が必要となってきます。
また、”のれん”と言われる商号(ブランド)や常連客などの形のない財産的価値も引き継いでいくことになります。
今回のように銭湯の場合、不動産(銭湯の土地・建物)も個人名義であればこれを承継させることも必要となります。
このような事業のための財産を後継者に集中して相続させることになるため、他の相続人との均衡をどうやって測るか、相続税をどうやって支払うか、生前の対策が必要となってくるわけです。
このような生前の相続対策の中で、不動産を売却していくことになるわけですが、あいにく地元の付き合いのある不動産屋はすでに廃業しており、常連客の会社に依頼することとなります。
しかし、不審な動きが・・・
相続に限らず、不動産業界は市場規模がとてつもなく大きい領域です。詐欺事案も一定するあり、事業者もピンキリです。安心できる大手の不動産業者に依頼するか、信頼できる事業者にお願いするのが安心ですね。
今回のテーマでもある後継者探しや事業承継は日本が抱える課題の1つでもあり、事業承継のための生前の相続対策は非常に重要となってきます。
なお、過去話の講評は以下からご覧ください!
相続や遺産分割は合理的な法律と不合理な感情が入り混じる複雑な事案が多くあり、なかなかドラマのようには解決しないものです。ただ、当職は弁護士として15年、相続や遺産分割については調停や審判、関連訴訟等も多く経験しており、交渉で解決する重要性も意識しています。もし相続に関連してお悩みの方はご相談ください。
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