「相続探偵」(第10話)から弁護士と学ぶ遺言と相続!

相続探偵(1)(イブニングKC)
相続探偵(1)(イブニングKC)

  日テレ土曜9時で放送中の「相続探偵」!

 

いよいよ最終話、「第十話 遺言書が導く未来」がNetflixで配信開始され、視聴しました。

 

【あらすじ】

 育ての父の無念を晴らすため、実父で最高裁判事・地鶏の悪事を暴こうとする灰江に、ハゲタカが託した遺言書とは?一方元裁判官が真実を証言すると約束するも、灰江が逮捕され…。

 

 国賠訴訟で反撃に出ようと動き出していた灰江は、突然、非弁行為で逮捕されます。

 

 

 非弁行為とは、弁護士資格を持たない者が報酬を得る目的で法律事務を行うことを指しています。特に争いのある紛争ごとに報酬を得て関われるのは弁護士だけです。

 

【弁護士法】

 

第72条 弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で法律事件に関する業務を行うことを禁止する。

 

 

 このような非弁行為は刑事罰の対象となり、2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。

 

 元弁護士とはいえ、相続探偵として、報酬を得て関わることは常に弁護士法違反のリスクがあります。その言いみでは、逮捕しようと思えば逮捕できる状況にあり、それをこの場面で利用されたということでしょう。

 なお、実社会ではこのような場合は必ず有資格者である弁護士に依頼しましょう。

 

 

 釈放後、いよいよ灰江は国に対して裁判官の判決を違法とする国家賠償法に基づく損害賠償請求訴訟を提起することになります。

 

 公務員が職務を遂行するにあたって、違法な行為を行い、第三者に損害を与えた場合、国や地方公共団体が賠償責任を負うことになります

 

【国家賠償法】

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

 

 これについて公務員個人の責任は問えないことになっています。

 これまでにも、例えば、公立学校の事故などで学校を設置した地方公共団体に加えて、学校の教員がともに訴えられる事案がありましたが、地方公共団体の法的責任は認められても、公務員である教員は法的責任を負わないとされてきた事例もあります。

 

 

 いよいよ始まった国家賠償請求訴訟、元裁判官や地鶏の尋問シーンがありました。

 

元裁判官は、判決を出すにあたり、地鶏からの圧力を証言しました。

 

しかし、地鶏はこれを真っ向から否定。

 反対尋問の序盤では、灰江から「当時、最高裁事務総局人事局任用課長だったあなたに、そもそも逆らうことなどできなかったんではないですか?」と地鶏への追求がありましたが、強く否定されました。

 

 

 これはあえてでしょうが、ダメな反対尋問の例です。

 一見追求しているように見えても、このような質問をすれば、キッパリと否定されるので、むしろ裁判官的には否定が強く残るだけです。

 

 一般論として、反対尋問のコツは以下の通りです。

①シンプルで、なるべくクローズな質問をする

②誘導尋問をして、欲しい答えに誘導する

③客観的証拠との矛盾をつく

④感情的にならず、冷静に対応する

 

 この後、灰江は一転して、証拠として父の日記を示していきます。まさに客観的証拠との矛盾をついていくことになわるわけですね。その上で、あえて④のセオリーに反するかのように、感情的になっているふりをして、地鶏をあえて怒らせ、失言を誘います。

 この作戦は実際の法廷でなかなかうまくはいかないでしょうが、相手が取り繕っているとすれば、根っこの考え方はポロっと出てしまうかもしれません。

 

 

 第9話のタイトルが「三つの遺言書」となっていましたが、

まずは①地鶏を追い詰めるために記者・羽毛田が書いた遺言書、②元裁判官を説得するために事務員・令子が書いた遺言書

これらはまさに命懸けで道を切り拓く遺言書でした。

 

 そして3つ目が、③亡父が遺していた遺言書!

 報われない復讐に燃える灰江を鎮め、未来を導くものでした。

 過去に書かれた遺言書が、現在読まれ、読んだい人の未来を導くものであるという結末がよかったですね。

 

 毎週となると、結構長かったですが、楽しめました。またたまにこういうのも書けたらいいですね。

 全10話長らくお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

 

 なお、過去話の講評は以下からご覧ください!

 

    第一話「或る小説家の遺言」

 第二話「その女、危険につき」

 第三話「マリーアントワネットの相続」

 第四話「京都 老舗和菓子屋の変ー前編ー」

 第五話「京都 老舗和菓子屋の変ー後編ー」

 第六話「笑福湯の生前相続」 

 第七話「死後認知〜七人の隠し子〜」

 第八話「死後認知〜八人目の隠し子〜」

 「第九話 三つの遺言書」

 


 相続や遺産分割は合理的な法律と不合理な感情が入り混じる複雑な事案が多くあり、なかなかドラマのようには解決しないものです。ただ、当職は弁護士として15年、相続や遺産分割については調停や審判、関連訴訟等も多く経験しており、交渉で解決する重要性も意識しています。もし相続に関連してお悩みの方はご相談ください。