風俗店と売春のグレーゾーン?!〜松島新地で売春あっせん疑いで逮捕報道〜

産經新聞
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 歓楽街として、大阪では特に「飛田新地」が有名ですが、先日、大阪市西区の歓楽街「松島新地」の料亭で売春を仲介したとして、大阪・ミナミのホストクラブの経営にも関与していた男たち5人が逮捕されたというニュースがありました。

 

松島新地で売春あっせん疑いで5人逮捕、ホストクラブの支払い困難な女性狙ったか(産經新聞)

 

 報道によると、府警はホストクラブでの売掛金(つけ払い)の支払いが困難となった女性客に松島新地で売春させていた疑いがあるとみているようです。

 


 通常、 いわゆる性風俗店などは、”風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律”に基づいて許可を取得し、営業をしています。

ただし、それでも本番行為そのものが許容されているわけではありません。本番行為は禁止されており、それを黙認している店舗は、あくまでも許可を得た営業をする中での「店員と客の自由恋愛」という体裁で行われています。

 

 これに対して、歓楽街の〇〇新地というのは、風俗店ですらなく、「料理店」としての営業許可を得ています。そのうえで、菓子などを〝料理〟として提供し、「店員と客の自由恋愛」という体裁で本番行為が行われています。

   

 ”松島新地”は、もともと「松島遊郭」と呼ばれ、今から約150年前の明治元年に設置許可が下り、翌年に開設されたようです。ただ、その後、昭和33年に売春防止法が施行され、売春行為そのものが法律に禁止と明記されたことから、存続が危うくなった各店舗は、届け上は「料理店」として営業許可を取得する抜け道を考案し、「店員と客の自由恋愛」という名目で性的サービスを提供するようになり、それを警察等も黙認してきたようです。

 

 このような「店員と客の自由恋愛」という体裁について、グレーと言われることがありますが、現実的に問題が顕在化すれば通用しない理屈であると言わざるを得ません。

 実際に、これまでに宮崎県市内にて、被告人が売春を行う場所を用意・提供したとして逮捕された事件において、被告人が建物内での売春行為について、店員と客との自由恋愛を理由に「性交の有無は認識していない」主張したことに関し、最高裁判所は「建物内で金銭と引き換えに性交が行われていたことは明らか。自由恋愛を理由に性交について認識していないという理由も無理がある」と判断しています。

 

  そのため、違法性を否定することは実際には難しいのですが、現実的に警察が検挙しようと思えば、実際に性交が行われていることや店がそういう状況を作出あるいは認知したうえで放置していることなどの立証が不可欠です。これらの立証のためには協力者が必要なことが多いでしょう。そのような側面から、現実的にはこれまでの秩序を乱すような店舗が出現した場合の見せしめ的なものや、別の違法性や悪質性がみられた場合などに警察が特定の店舗を検挙するということが行われがちなのです。

 

 今回の件も、ホストクラブのツケ払いという社会から注目されている問題を背景に、女性が半強制的に売春させられていたという背景があり、立証のための協力者の存在も得られる状況のもと、売春あっせん疑いで検挙されたものと推察されます。