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【学校関係者向け講演】「いじめ対応の失敗事例から学ぶ初期対応の方策」

 先日、兵庫県の教育委員の方々や学校の管理職の方々が200名近く集まる場で、いじめの初期対応をテーマにお話しをさせていただきました。

 

 この内容次第で、受講されている先生方を通じて、その先にいる子どもたちをもしかしたら救えるかもしれないとの想いで、私なりに熱をもって公演させていただきました。

 

 私は、現在、兵庫県弁護士会の子どもの権利委員会で委員長を務めておりますが、学校問題については、もともと子どもや保護者の相談をメインで受けておりました。ただ、最近は兵庫県のスクールロイヤーの導入に伴い、学校側からの相談を受ける機会も増えました。

 ただ、その場合でも日々奮闘されている教員の方々には敬意を表しつつも、あくまでも”子どもたちの最善の利益”になるようにアドバイスをしてきました。

 

 これまでの相談経験を生かして、お話をさせていただきました。そのため、あくまでも実践的な内容に終始し、弁護士の公演でありながらほぼ法律の話はしていません。実際に初期対応を失敗した仮想事例をイメージした上で、問題のある箇所を抽出して指摘をしていきました。

 

 これまでの相談経験を踏まえて作成した仮想ケースを以下に紹介しておきますので、もし興味ある方がおられたらみてみてください。結構よく起こりうる、ありがちな事案です。

 

 講演の中では、このいじめ事案を通じて、失敗点を洗い出して解説をしているのですが、結局、いじめの初期対応のポイントしてまとめられるのは、この3つです。

 

①被害児童本人に終始、一貫して寄り添う姿勢

→担任や管理職が被害児童本人に寄り添う姿勢を一貫して示すことが何よりも大切です。これは被害者側の要望を全て飲むこととはイコールではありません。まずは、児童本人に共感し、しっかりと傾聴した上で、この子を本気で守るという姿勢が大切です。

 

②前提となる事実を調査し、共通認識を持って進める

→事実がよくわからない時点での謝罪の場はかえって事態を悪化させることになりかねません。しっかりと背景事情含めて事情を聞き取り、事実を確認して、共通認識をもてるようにして解決に向けた話し合いをしていきましょう。

 

③見立てを持って臨み、できることとできないことを明確に

→行き当たりばったりの対応で、到底できないことを「できる」と言ってしまい、信頼関係を崩壊させることもよくあります。解決のため、特に被害児童本人が安心して学校に通えるようにするために、どのような見立てをもって進めていくのかをあらかじめ考え、時には学校としてできないことは「できない」とはっきり伝え、信頼関係を構築していきましょう。

 いじめ対応が失敗しがちな1つの要因として、全ての関係する大人にそれぞれの独自の体験があり、それに基づく経験則を持っていることにあると思っています。この経験則によって考え、行動してしまうが故に、そこを共通していない人には伝わらず、なかなかうまくのではないでしょうか。

 このような問題点を端的に指摘し、できる限り、論文や研究成果をもとにいじめ対応を紹介してくれているのがこちらの「学校を変えるいじめの科学」という本です。

 ”いじめ対策にエビデンスを”と書いているように、いじめがエスカレートする要因、それに向けた対策、被害者や加害者への対応など、合理的根拠に基づいて説明してくれています。

 学校問題に取り組まれる方はぜひ、読んでみてください。

 

 Amazon  学校を変えるいじめの科学 著者:和久田学

 https://www.amazon.co.jp/dp/4535563772/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_4SK189BE85MR43FY3EJZ