フリーランス法の現況と対応した発注書・見積書サンプル

1 フリーランス法の浸透状況

 いよいよ2024年11月1日からフリーランス新法が施行されます。

 しかし、10月18日時点で公正取引委員会が公表した資料では、同法の内容をよく知らないという方が、

委託者側でも54.5%、フリーランスでも76.3%にのぼっています。

 

 

 また、フリーランス法の施行にあわせて、公正取引委員会が、フリーランス法にも抵触するような事案について、下請法違反で勧告や公表をする事例が次々と報道されています。

 これは明らかにフリーランス法の施行にあわせた注意喚起を促す流れでしょう。これらは施行日前の事案であり、下請法違反が問題となる事案ですが、今後は資本金の要件等で下請法の適用を受けないような中小企業でも同様の規制により、フリーランス法違反となる可能性がありますので注意しましょう。

 

アバター無償で243回作り直させる VTuber大手が下請法違反(2024/10/25付朝日新聞)

https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASSBT10R8SBTUTIL03HM.html

「Vtuber(Vチューバー)のアバター作成を委託した下請け業者に、作り直しを無償でさせたなどとして、公正取引委員会は25日、Vチューバーの所属事務所大手を運営し、動画配信事業などを展開する「カバー」(東京都港区)の下請法違反(不当なやり直し)を認定し、作り直し分の費用の支払いや再発防止を求める勧告を出した。」

 

KADOKAWA、フリーランス「買いたたき」…一方的に雑誌ライターらの作業代引き下げ (2024/11/08付読売新聞)

https://www.yomiuri.co.jp/national/20241108-OYT1T50012/

 「雑誌の製作に携わるライターやカメラマンに支払う原稿料などを著しく低く抑えたとして、公正取引委員会が近く、東証プライム上場の出版大手「KADOKAWA」(東京都千代田区)と子会社の下請法違反(買いたたき)を認定し、再発防止を求める勧告を出す方針を固めた。国がフリーランスの保護を進める中で、立場の強い発注者による不当な圧力に対する厳格な姿勢を示す狙いがある。」

 


2 適用対象は事業者のフリーランス(従業員なし)への業務委託取引

  

 委託者側としては違反状態にならないように速やかに対処すべきですし、フリーランス側は自分の身を守るために理論武装をしておくことが必要です。

 

 「フリーランス」(ここでは従業員を雇用していないことが条件)にBtoBで業務委託をする場合、基本的にフリーランス新法が適用され、発注者側は規制を受けることになります。

 特に発注者側が従業員を雇用している場合や役員が2人以上いる場合は、「特定委託事業者」としてより様々な規制を受けることになることに留意しましょう。

 この規制の内容を踏まえて対処しておく必要があります。

 研修やセミナーで準備したスライドの一部を掲載しておきますので、ご参照ください。

 


3 発注事業者側の発注書とフリーランス側の見積書サンプル

 

 このうち、①書面による取引条件の明示について、発注者側はとしては契約書で明記することはもちろん可能ですが、発注書で対応する場合のサンプルをダウンロードできるようにしておきます。

 適宜加筆修正してご利用ください。

ダウンロード
発注書(フリーランス法3条通知)
フリーランス法第3条で求められている取引条件の明示に対応した発注書のサンプルをアップしております。
20241101発注書(3条通知)案(弁護士松田昌明).docx
Microsoft Word 24.5 KB

 また、施行日にあわせて準備、収録したwebセミナーがDeliveruというサイトでリリースされました!

 こちらはあくまでも発注者側となる企業向けに有料配信しているものですが、企業研修などで必要ならご活用ください♪

 Deliveru「フリーランス法 基本と活用法」

 

 他方、たとえ、発注者側の義務としても、フリーランス法に対応していない可能性もあります。

 その場合には、フリーランス側から積極的に対応を求めるべきですが、直接的な指摘はしにくいでしょうから、フリーランス法を意識した見積書を定型的に用いる方法で取引条件を明確にさせる方策が考えられるでしょう。

 従前公開していた見積書のサンプルをアップデートしましたので、こちらもご利用ください。

ダウンロード
見積書(フリーランス法を意識)
フリーランス法第3条で求められている取引条件の明示を意識した見積書のサンプルをアップしております。
20241101見積書案(弁護士松田昌明).docx
Microsoft Word 26.3 KB

4 フリーランス法のセミナー予定

 

 また、対面やオンラインでセミナーも随時やって行きますので、ぜひ、ご参加ください。

 もし団体や会合で講演の依頼をお考えの場合は遠慮なくお問い合わせください。

『フリーランス新法 基本と活用法』

 

日時:2024年11月21日(木) 18:30〜20:00

場所:fabbit神戸三宮

(兵庫県神戸市中央区八幡通4丁目2-12 カサべラFRⅡビル10F)

参加費:500円(税込)

 

お申し込みはコチラから

 

https://www.kokuchpro.com/event/a0a097fda686cf8906791648a3fb3890/