昨日、雲雀丘学園の探究プロジェクトとして行われている「文学模擬裁判」の講義を行なってきました。
こちらの模様は雲雀丘学園のHPでも紹介されています。
雲雀丘学園HP 探究プロジェクト「文学模擬裁判」
1日目
https://www.hibari.jp/project/inquiry_seminar/inquiry_project/post_479.html
2日目
https://www.hibari.jp/project/inquiry_seminar/inquiry_project/post_481.html
3日目
https://www.hibari.jp/project/inquiry_seminar/inquiry_project/post_482.html
4日目
https://www.hibari.jp/project/inquiry_seminar/inquiry_project/post_483.html
今年はほとんどが中学生で、昨年に比べると人数は減りましたが、合計11名で、熱心な子たちが参加してくれていました。
私からは、裁判の流れやルールと問題となる強盗罪や緊急避難の内容に加えて、「正義」とは何か、「真実」はわかるのか、刑事裁判の意義やあり方、弁護士のやりがいなどもお話しました。
何よりも、皆さんがぞれぞれの立場で、時代や背景に想いを馳せつつ、その役割を全力で果たすことで、よりよい裁判になること、そしてその判断が被告人や被害者の人生を大きく左右することをお伝えしました!
そもそも「文学模擬裁判」は龍谷大学の札埜和男先生が取り組まれている独自の活動です。
模擬裁判といえば、一般的には実際に起こりうるような仮想の事案をモデルに模擬裁判を行うものですが、こちらでは文学小説のストーリーや登場人物をもとに、歴史的な時代背景を踏まえつつ、現代型の裁判員裁判を行うものです。
通常の模擬裁判が、事実認定と法の適用を体感し、多角的な物事の見方や論理的な思考・説得方法などを学ぶのに対し、文学模擬裁判ではこれを超えて、歴史や時代背景への理解と物語における登場人物の心情理解、これらを通じた文学作品自体への理解が重要なポイントになってきます。究極的には「人間理解」であり、まさに探究授業に最適と言えるでしょう。
札埜先生が書かれた「文学模擬裁判のつくりかた」では文学模擬裁判について次のように紹介されていました。
”モギサイは国語であり、理科であり、社会であり、スーガクだ!”
ぴったりなフレーズです。
文学模擬裁判のつくりかた(著者:札埜和男)
https://www.shimizushoin.co.jp/books/view/900
なお、今回は予定が合わず、裁判や評議等までみることはできなかったのですが、以前、同じ「羅生門」をテーマに西宮東高校で実践した模様は別の記事で紹介しています(こちらの内容は書籍でも紹介していただきました)。
2022/06/28 Blog文学模擬裁判 『羅生門』ver@西宮東高等学校
https://www.kobengoshi.com/bungaku/
特に裁判官や裁判員の評議をみて感心した3人の鋭い発言を紹介しています。
①「まずは争いがない事実から確認していこう」という発言
②「本当に飢え死にしないためなら着物ではなく、髪の毛を奪うはずだし、自分の正義のためにやったから、緊急避難は成立しないんじゃないか」との指摘
③「被告人の生い立ちとか、同期を考えたらもっと軽くしてもいいのではないか」との指摘
今回の雲雀丘学園の法廷でも、きっと全力の裁判により、新しい発見や鋭い指摘がたくさんうまれるでしょう。体験された生徒たちにとっても、これがどのような体験として消化され、人生に影響を与えるのか、楽しみです。
なお、Chat GPTに作成させた「羅生門」を題材にした裁判のイメージ画像はこのような感じでした。なかなかの出来です。